骨盤底筋トレーニング指導における「骨盤模型」という大切なツール

骨盤底筋トレーニング指導のツール

骨盤底筋トレーニングの指導を行う際、
「どこを意識すればいいのかわからない」
「骨盤の中で何が起きているのか想像できない」
という声をよく耳にします。

骨盤底筋トレーニングの基本は、骨盤底筋群(以下:骨盤底筋)を随意的に収縮・弛緩させる筋肉運動です。
そのため、骨盤底筋が「どこにあるのか」がわからなければ、トレーニングは始まりません。

その“分からない”を“実感できる”に変えてくれる、非常に強力なツールのひとつが骨盤模型です。
私たちホリスティックヘルス研究会では、講座内容や参加者の背景に応じて、いくつかの骨盤模型を使い分けています。


① ベーシックな女性骨盤模型

【実物大女性骨盤模型】

骨盤の位置が「このあたり」という認識は、多くの方が持っています。
しかし、骨盤をどの向きから見るかによって、理解の深さは大きく変わります。

この骨盤模型の最大の特徴は、
👉 骨盤を上下方向から見ることで、骨盤の底に“穴”があることを実際に確認できる点です。(写真2枚目)

骨盤底筋は、この“骨盤の底”の穴を埋めるように、ハンモック状に支えている筋肉群です。
模型を使うことで、

  • 骨盤底筋が「どこに付着しているのか」
  • 恥骨・坐骨・尾骨といった骨のランドマークをどのように探すのか

を、目で見て、手で確認しながら理解することができます。
これは言葉だけの説明では、なかなか伝わりにくい部分です。


② 男性の骨盤模型 ― 比較することで見えてくること

【男性骨盤模型】

男性には、男性の骨盤模型も用います。


それぞれ単独で使うことも有用ですが、女性の骨盤と並べて比較することで、

  • 骨盤の形の違い
  • 出産に適応した女性骨盤の構造
  • 骨盤底にかかる負担の大きさ

が、非常に分かりやすくなります。

特に女性にとっては、
妊娠・出産・加齢といったライフイベントと骨盤底への負担を重ね合わせて考えることで、
「なぜ今、骨盤底ケアが必要なのか」が腑に落ちるきっかけにもなります。


③ 筋・靭帯・臓器まで示せる骨盤模型

【筋・臓器付き女性骨盤模型】

講座内容によっては、筋肉や靭帯、内臓まで再現された骨盤模型を使用します。

この模型には、

  • 尿道口
  • 肛門
  • 膀胱・子宮・直腸

といった構造が示されており、見た目に少し抵抗を感じる方もいらっしゃいます。

そのため、

✔ 女性限定講座
✔ 骨盤底筋の「ほぐし」やセルフケアを扱う回
✔ フェムケア、GSM(閉経関連尿路生殖器症候群)に関する内容

など、安心して学べる場づくりができる場合に使用しています。

実際に模型を使うことで、

  • 自分が行っているケアは合っているのか
  • 具体的にどの部位なのか
  • どのくらいの強さで
  • どの方向にケアすればよいのか

を、具体的に説明できるのが大きな利点です。


④ 「骨盤ぬいぐるみ」― やさしく伝えるための工夫

【骨盤ぬいぐるみ】

最後にご紹介するのは、私は「骨盤のぬいぐるみ」と呼んでいるツールです。

骨盤の中にある

  • 膀胱(尿も中に入っています)
  • 子宮
  • 腟(正常な腟、臓器脱が起こった状態の腟)
  • 直腸

が、ぬいぐるみのようなやさしい手触りで配置されています。

さらに、骨盤底筋のふくらみや状態変化を表すための巾着型の布も組み込まれており、

  • 正常な状態
  • 骨盤臓器脱が起きた場合

の違いを、とても分かりやすく示すことができます。

硬い模型とは異なり、やわらかく温かみのある印象のため、

「怖くなくて安心する」
「初めてでも理解しやすい」
「触れて理解できるのがとても良い」

というお声を多くいただいています。

これまで、学会や社会啓発イベントで展示・紹介してきました。


イベントに参加された一般の方や、指導現場の方に、手に取ってもらいとても好評でした。

気軽にふれ、手に取ることができると、お互いになんとなく話づらいを解消してくれます。


骨盤底の問題は、デリケートな話になることも多いのが実際です。

寄り添い、信頼関係を築くことで、ようやく話していただける悩みや状態もあると感じており、
この点でも非常に大切なツールだと考えています。

この骨盤ぬいぐるみは、
「骨盤臓器脱で悩む女性が受診しやすい社会へ」というテーマのもと、
大阪大学医学系研究科 遠藤誠之教授らを中心に行われたクラウドファンディングにより制作された
「患者さんへの症状説明用・骨盤臓器キット(ぬいぐるみ)」です。

(※骨盤臓器脱とは、骨盤の底にある支え〈筋肉や組織〉が弱くなり、
骨盤内の臓器〈子宮・膀胱・腟・直腸〉が体の外方向へ下りてくる状態をいいます。)

骨盤臓器脱の予防や治療の普及啓発を目的としたツールで、
詳細は
👉 骨盤臓器脱 基本情報サイト
https://www.pop-pr.org/
をご覧ください。


ツールは「理解を支えるための架け橋」

骨盤模型は、ただ見せるためのものではありません。
自分の身体を正しく知り、安心して向き合うための架け橋です。

私たちは、これからも一人ひとりの理解や背景に寄り添いながら、
最適なツールとともに、骨盤底ケアの大切さを伝えていきたいと思います。

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